Japanische Klassiker mit Furigana
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme
ちょん切られた二本の、ムチムチとよく太った女の脚、――煙の立昇っている煙突のてっぺん、――見る限り何もない白い空。
日常生活から余りにかけ離れた、この一種異様の光景に、若い警官は眩暈を感じて、フラフラと足場を失いそうになった。だが、このまま手足を離してしまっても、彼の身体は普通の落体の早い落ち方をしないで、フワリフワリと、丁度夢の中での様に、空中を漂って行くのかも知れない。ふと、そんな変てこな事さえ考えられた。
地上の群集は、中には双眼鏡などを持出して、熱心にこの有様を眺めていた。あの勇敢なお巡りさんは、今にも裸体の娘の死骸を肩に担いで、鉄梯子を降りて来るに違いないと、激情的な光景をまざまざと眼底に描きながら。
併し、群集の期待は、実に突拍子もないやり方で裏切られてしまった。
見ていると、お巡りさんは、一本の脚に手をかけたかと思うと、それを、スポンと抜取ってしまった。そして、何だかゲラゲラ笑っている様子で、その脚をヒョイと空中に投出したのだ。次には、残りの一本の脚も、同じ様にして、空中へ。
白い二本の太腿が、相前後して、異様な降りものとなって、スーッと屋根の向うへ消えて行った。