Japanische Klassiker mit Furigana
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme
取出して、膝に凭れていた一寸法師の口へ持って行って、「サこれを呑み込むのよ」と囁きながら、その口に含ませた。可哀相な低能児は、まるでおいしいお菓子ででもある様に、それをゴクリと呑みこんだが、すると、今度は今一つの粒を、手早く彼女自身の口へ、……それが極わめて何気なく、ごく静かに行われたので、人々が意味を悟る隙がない程であった。無論見ていないのではなかった。見ながらも、妙なことをするなと感じたばかりで、誰もそれをとめる者はなかった。
「オイ、何か呑んだな。それは何だ、まさか、……」
三笠探偵がびっくりして叫び出した時には、もう手遅れであった。烈しい薬物の利目は忽ちであった。さしたる苦悶もなく、何事を云い残すでもなく、この異様な親子は、見る見る蒼ざめて行って、しっかりと抱き合ったまま、いつしか冷いむくろと化していた。
「アア、しまったわい。こいつは、まさかの時に、自分を殺す毒薬を、ちゃんと用意しておったのじゃ」
探偵は、この失策をさして悔む様子もなく、独りごとの様に云った。彼は内心では、殿村親子の世にも異様な境遇に、幽な同情を感じていたのかも知れない。そして、彼女等の自殺を、実は見て見ぬ振りをしたのかも知れない。