Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
。それまでにも、原っぱを見たことは度々ありましたが、人間が通るのは一度も見ませんからです。
およねさんは、きっと「馬鹿」という片輪だったのでしょう。何にも私に教えてくれなんだものですから、その時まで、私は、人間の極った形を、ハッキリ知らなんだのです。
原っぱを歩いている人は、およねさんと、同じ形をして居りました。そして、私の身体は、その人とも、およねさんとも、まるで違うのです。私は怖くなりました。
「あの人や、およねさんは、どうして顔が一つしかないの」と云って私がたずねますと、およねさんは「アハハハハ知らねえよ」と云いました。
その時は、なんにも分らずにしまいましたが、私は怖くって仕様がないのです。寝ている時、一つしか顔のない、妙な形の人間が、ウジャウジャと現われて来るのです。夢ばっかり見ているのです。
片輪という言葉を覚えたのは、助八さんに歌を習う様になってからです。十歳位の時です。「馬鹿」のおよねさんが来なくなって、今のおとしさんに代って間もなく、私は歌や三味線を習い始めたのです。
おとしさんが物を云わないし、私が云っても聞えないらしいので、妙だ妙だと思っていますと、助八さんが、あれは唖という片輪者だと教えてくれました。