Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
「これを先方の申出通り送ってやる訳には行かぬのですか」
「俺はね、それを敵に送り返す代りに」彼はあたりを見廻す様にして、極度に声を低め「君に宛てて書留小包で送ったよ。今日帰ると、変なものが届いている筈だが、それを傷つけたり毀したりしない様に大切に保管してくれ給え。俺の手元に置いては危いのだ。君なら幾分安全だから、非常に大切なものなんだから間違いなくね。そして、それが大切なものだっていうことを、人に悟られぬ様にするんだよ」
私は深山木のこれらの、余りにも打とけぬ、秘密的な態度が、何だか馬鹿にされている様で、快くなかった。
「あなたは、知っている丈けのことを、僕に話して下さる訳には行かぬのですか。一体この事件は、僕からあなたにお願いしたので、僕の方が当事者じゃありませんか」
「だが、必らずしもそれがそうでなくなっている事情があるんだ。併し、話すよ。無論話す積りなんだけれど、では、今夜ね、夕飯でもたべながら話すとしよう」
彼は何だか気が気でないといった風で、腕時計を見た。「十一時だ。海岸へ出て見ないか。変に気が滅入っていけない。一つ久しぶりで海につかって見るかな」