Japanische Klassiker mit Furigana
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まごしちとずんど
孫七とずんど
山本 周五郎
Lesen Sie 孫七とずんど (まごしちとずんど) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.189 Zeichen · 30 Bildschirme
「おまえもう怒るのか石原寸度右衛門」
「いいから立とう、馬寄せだ」そう云って寸度は踵を返した。
本当にそのとき勢揃えの法螺がびょうびょうと大きく鳴りわたった。孫七郎はやおら石から腰をあげたが、さきへゆく寸度のうしろ姿をみると、急に「ああそうだ」と手をあげた。
「おい石原寸度右衛門ちょっと待って呉れ、おれはおまえに大事なはなしがあった、おれは嫁を貰わなくちゃならないんだ」
「なに、なんだって孫七」と寸度はびっくりしてふり返った、「嫁がどうしたって」
「嫁を貰うんだよ」孫七は熱心に云った、「つまり誰かおれにふさわしい娘があったら、それを女房にして身をかためたいんだ、つづめていえば妻帯するわけだ」
「それは本当か」寸度は駈け戻って来た、「それは本心か孫七、本気でそう思うのか」
「本気だとも、それともおまえまだ早いとでもいうのかね」
「なにを云うものか、早いどころかおそすぎるくらいだ、しかしまたどうして、急にそんな殊勝な気持になったのかい」
「おれはたまげた」孫七はゆらりと頭をゆすった、「戦場がこんなに危険なものだということは知らなかった、初めて見てたまげたんだ、これじゃ危ない、戦場がこんな危険なものだとすると独身ではいられないじゃないか」