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Japanische Klassiker mit Furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

「漸とこれで私も思が届いた」とお種も言ってみて、やがて窓のところに倚凭った。

しばらく達雄夫婦の話は三吉等の噂で持切った。旅と思えば、お種も気を張って、平常より興奮した精神の状態にあった。なるべく彼女は弱った容子を夫に見せまいとしていた。その日は達雄も酷く元気が無かった。しかし、夫はまた夫で、それを外部へは表すまいと勉めていた。

汽車が山を下りた頃、隣の室の客で、窓から乳を絞って捨てる女が有った。お種はそれを見て子の無い自分の嫁のことを思出した。彼女は忰や、嫁や、それから不幸な娘などから最早余程離れたような気がした。

この旅はお種に不安な念を抱かせた。何ということはなしに、彼女は心細くて心細くて成らなかった。彼女の衰えた身体は、正太の祝言を済ました頃から、臥床の上に横わり勝で、とかく頭脳の具合が悪かったり、手足が痛んだりした。で、弟の森彦の勧めに従って、この前にも伊豆の温泉を択んで、遠く病を養いに出掛けたこともあった。伊東行は丁度これで二度目だ。どういうものか、今度は家を離れたくなかった。厭だ、厭だ、とお種がいうやつを、無理やりに夫に勧められて出て来た位である。