Japanische Klassiker mit Furigana
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme
何事が起ったかということを知った。室の中は妙にうそ寒く、私は自分の心にぴしぴしと鳴る眼に見えない運命の鞭を感じた。今、母の寝姿を前にしていると、その記憶は遠い昔の出来事のようでもあり、たった今、私の眼前を通り去った情景のような気もするのであった。その回想は私の心に何時同じことが起るかも知れないというおそれを運んでくるのだから。
夜中に妻が私の書斎にはいってきて、母の発作がすっかり静まって、大変気持も軽くなったらしいという話をした。それから妻は声の調子を落して、
「不意に心細いことを言いだしたのよ。自分はね、死んでから葬式をして貰うよりも生きているうちに葬式をして貰いたいってね。そのことをあなたに頼んでくれと言うの。その葬式というのが、おかしいのよ。――田舎にまだ生きている自分を養ってくれた乳母とね、それからうちの尼寺の坊さん呼んでね、いろいろなものを喰べたいんですって、その話を聞いておばさんと一しょに笑っちゃったのよ」
その話につりこまれて私も思わず笑いかけたが、急に一すじの冷たさが心の底からのぼってきた。
「いくらおそくってもね、――今年の秋までにやってもらいたいって」