Japanische Klassiker mit Furigana
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme
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夜になって母の発作はよほどおさまりかけた。然し、彼女は烈しい疲れのために寝そべったまま身体を動かすことが出来なかった。その寝姿を見詰めていると私の眼の前に迫りつつある母の死を思わないではいられないのだが、静まったあとで母は何時も口癖のように、あんなときにはほんとうに誰れか来て殺してくれればいいと思う、と言うのである。その言葉は私の胸を突き刺す、何故かといってこのうす暗い三畳の室で朝から晩まで小さい自分の身体を持てあましながら寝そべっている母の生活がどうして彼女の死以上のものであると言えようか。彼女の余生の中に残されているものは一つもないではないか、数年前まで、母は兄の家にくらしていたのであった。そのころ兄の家は郊外のひろびろとひらけた平原の一角にある村落のはずれにあった。ある夜数年ぶりで私はその兄の家を訪れたのだ。私はそのころ下宿屋から下宿屋を流れわたってくらしていたのであるが、兄は、――彼もまた就職の途を失って田舎から持って来た偽筆の書画や、やくざな家財道具を売ってくらしていた。建付けのわるい格子戸をあけてはいってゆくと兄が真蒼な顔をして出てきた。