Japanische Klassiker mit Furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme
斯く思ひつゝ吾は怡然として歩を喬岳の巓に運びぬ。
刀利権現に着いたら、右へ尾根伝いに行きさえすれば、間違なく頂上へ出られると主人から聞いていたので、痩せた岩尾根が右へ曲る頃から注意して四辺に眼を配ったが、霧で何も見えない。然しもう刀利権現へ来たことは確であると安心したせいか、急に空腹を感じたので、稍平な場所にある大岩の蔭に風雨を避けつゝ握飯を取り出した。今日は実によく腹のへる日だ、途中歩きながらも食べた、見るともう握飯は四つ林檎は五つしか残っていない、明日のことを思えば気には懸るが当面の空腹には克てず、また握飯一つ林檎二つを平げてしまった。恐らくこの旺盛な食慾と豊富な食糧とのお蔭で、気力が衰えずに風雨を凌ぎ得たものであろうと考える。
「●七丈ノ小屋(甲斐駒)より見たる鳳凰山と富士山」のキャプション付きの写真
●七丈ノ小屋(甲斐駒)より見たる鳳凰山と富士山
刀利権現からの登りはつらかった。殊に木も無い砂ばかりのざらざらした急峻な痩尾根の真中に、巨大な岩が幾つも突立っているのには困った。うっかり横を搦むと路を失う虞があり、また前途の見透しが利かぬから、行先にどんな危険が待ち構えているかも知れないので、一つ一つ岩をのり踰えて行った。