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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme

Aozora Bunko

其岩の表面が又ボロボロに風化していることが多く、手を懸る度に脆く崩れてそれと共に体が滑り落ち、幾度肝を冷したか知れなかった。

南風であった為か、瀑壺に落ちてずぶ濡れになって以来、衣物は絶えず生乾きであったにも拘らず、シャツに単衣一枚で左程寒くは感じなかった。林の中ではどうにか傘もさせたが、尾根に出てからは傘どころか、茣蓙を体に巻き付けて、帯代りに細引をしめても、風を孕んで吹き上げられそうになる、それで傘は茣蓙にくるんで腰にさし、いつでも両手を使えるようにしていた。

雨を伴って断続する風のあいまに、まるっきり別のものかと想われるような一陣の烈風が吹いた。この風は生温い上に磯臭い香いがあって、温泉の湯気にむせるような感じがした。其風が唸りを生じて山稜の頂を薙ぎ払うと、風下の谷から濃厚な雲霧が噴泉の如く湧き上って、そこに風と雲との争闘が始まり、風の渦まきに連れて、虚空に奇怪な形をした雲が物の化のように現れては消え、消えては現われ、それが横なぐりの風にけし飛んで、晴れた日の朝に見る雲海のようになったかと思うと、もう其底から新しい雲が湧き上って来る。そして風の勢が少し衰えると凄まじい雨の音が谷底から聞えて来た。