Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
燭台が並んだと思うと、跡から大きな盥が運ばれた。中には鮓が盛ってある。道行触のおじさんが、「いや、これは御趣向」と云うと、傍にいた若い男が「湯灌の盥と云う心持ですね」と注釈を加えた。すぐに跡から小形の手桶に柄杓を投げ入れたのを持って出た。手桶からは湯気が立っている。先っきの若い男が「や、閼伽桶」と叫んだ。所謂閼伽桶の中には、番茶が麻の嚢に入れて漬けてあったのである。
この時玄関で見掛けた、世話人らしい男の一人が、座敷の真ん中に据わって「一寸皆様に申し上げます」と冒頭を置いて、口上めいた挨拶をした。段々準備が手おくれになって済まないが、並の飯の方を好む人は、もう折詰の支度もしてあるから、別間の方へ来て貰いたいと云う事であった。一同鮓を食って茶を飲んだ。僕には蔀君が半紙に取り分けて、持って来てくれたので、僕は敷居の上にしゃがんで食った。「お茶も今上げます。盥も手桶も皆新しいのです」と蔀君は言いわけをするように云って置いて、茶を取りに立った。しかしそんな言いわけらしい事を聞かなくても、僕は飲食物の入物の形を気にする程、細かく尖った神経を持ってはいないのであった。