Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
僕はさっき飾磨屋を始て見たとき、あの沈鬱なような表情に気を附け、それからこの男の瞬きもせずに、じっとして据わっているのを、稍久しく見て、始終なんだか人を馬鹿にしているのではないかというような感じを心の底に持っていた。この感じが鋭くなって、一刹那あの目をデモニックだとさえ思ったのである。そうであるのに、この感じが、今依田さんを送りに立ったと云うだけの事を、蔀君の話に聞いて、なんとなく少し和げられた。僕は蔀君には、只自分もそろそろ帰ろうかと思っていると云うことを告げた。僕は最初に、百物語だと云って、どんな事をするだろうかと思った好奇心も、催主の飾磨屋がどんな人物だろうかと思った好奇心も、今は大抵満足させられてしまって、この上雇われた話家の口から 古い怪談を聞こうと云う希望は少しも無くなっていたからである。蔀君は留めようともしなかった。
改まって主人に暇乞をしなくてはならないような席でもなし、集まった客の中には、外に知人もなかったのを幸に、僕は黙って起って、舟から出るとき取り換えられた、歯の斜に耗らされた古下駄を穿いて、ぶらりとこの怪物屋敷を出た。少し目の慣れるまで、歩き艱んだ夕闇の田圃道には、道端の草の蔭でが微かに鳴き出していた。