Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
その時調剤室の硝子窓を開けて、佐藤が首を出した。
「一寸若先生に御覧を願いたい患者がございますが」
「むずかしい病気なのかね。もうお父っさんが帰ってお出になるだろうから、待せて置けば好いじゃないか」
「しかしもうだいぶ長く待せてあります。今日の最終の患者ですから」
「そうか。もう跡は皆な帰ったのか。道理でひどく静かになったと思った。それじゃあ余り待たせても気の毒だから、僕が見ても好い。一体どんな病人だね」
「もう土地の医師の処を二三軒廻って来た婦人の患者です。最初誰かに脹満だと云われたので、水を取って貰うには、外科のお医者が好かろうと思って、誰かの処へ行くと、どうも堅いから癌かも知れないと云って、針を刺してくれなかったと云うのです」
「それじゃあ腹水か、腹腔の腫瘍かという問題なのだね。君は見たのかい」
「ええ。波動はありません。既往症を聞いて見ても、肝臓に何か来そうな、取り留めた事実もないのです。酒はどうかと云うと、厭ではないと云います。はてなと思って好く聞いて見ると、飲んでも二三杯だと云うのですから、まさか肝臓に変化を来す程のこともないだろうと思います。栄養は中等です。