Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
悪性腫瘍らしい処は少しもありません」
「ふん。とにかく見よう。今手を洗って行くから、待ってくれ給え。一体医者が手をこんなにしてはたまらないね、君」
花房は前へ出した両手の指のよごれたのを、屈めて広げて、人に掴み付きそうな風をして、佐藤に見せて笑っている。
佐藤が窓を締めて引っ込んでから、花房はゆっくり手を洗って診察室に這入った。
例の寝台の脚の処に、二十二三の櫛巻の女が、半襟の掛かった銘撰の半纏を着て、絹のはでな前掛を胸高に締めて、右の手を畳に衝いて、体を斜にして据わっていた。
琥珀色を帯びた円い顔の、目の縁が薄赤い。その目でちょいと花房を見て、直ぐに下を向いてしまった。Cliente としてこれに対している花房も、ひどく媚のある目だと思った。
「寝台に寝させましょうか」
と、附いて来た佐藤が、知れ切った事を世話焼顔に云った。
「そう」
若先生に見て戴くのだからと断って、佐藤が女に再び寝台に寝ることを命じた。女は壁の方に向いて、前掛と帯と何本かの紐とを、随分気長に解いている。
「先生が御覧になるかも知れないと思って、さっきそのままで待っているように云っといたのですが」