Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
それは自然の二字である。
妙な字体で書いてある。何か拠があって書いたものか。それとも独創の文字か。
かわるがわる泉を汲んで飲む。
濃い紅の唇を尖らせ、桃色の頬を膨らませて飲むのである。
木立のところどころで、じいじいという声がする。蝉が声を試みるのである。
白い雲が散ってしまって、日盛りになったら、山をゆする声になるのであろう。
この時只一人坂道を登って来て、七人の娘の背後に立っている娘がある。
第八の娘である。
背は七人の娘より高い。十四五になっているのであろう。
黄金色の髪を黒いリボンで結んでいる。
琥珀のような顔から、サントオレアの花のような青い目が覗いている。永遠の驚を以て自然を覗いている。
唇だけがほのかに赤い。
黒の縁を取った鼠色の洋服を着ている。
東洋で生れた西洋人の子か。それとも相の子か。
第八の娘は裳のかくしから杯を出した。
小さい杯である。
どこの陶器か。火の坑から流れ出た熔巌の冷めたような色をしている。
七人の娘は飲んでしまった。杯を漬けた迹のコンサントリックな圏が泉の面に消えた。
凸面をなして、盛り上げたようになっている泉の面に消えた。