Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
おとつい焼け残った町家が、又この火事で焼けた。
十日には又寒い西北の風が強く吹いていると、正午に大名小路の松平伯耆守宗発の上邸から出火して、京橋方面から芝口へ掛けて焼けた。
続いて十一日にも十二日にも火事がある。物価の高いのに、災難が引き続いてあるので、江戸中人心恟々としている。山本方で商人に注文した、少しばかりの品物にも、思い掛けぬ手違が出来て、りよが幾ら気を揉んでも、支度がなかなかはかどらない。
或る日九郎右衛門は烟草を飲みながら、りよの裁縫するのを見ていたが、不審らしい顔をして、烟管を下に置いた。「なんだい。そんなちっぽけな物を拵えたって、しようがないじゃないか。若殿はのっぽでお出になるからなあ」
りよは顔を赤くした。「あの、これはわたくしので」縫っているのは女の脚絆甲掛である。
「なんだと」叔父は目を大きくった。「お前も武者修業に出るのかい」
「はい」と云ったが、りよは縫物の手を停めない。
「ふん」と云って、叔父は良久しく女姪の顔を見ていた。そしてこう云った。「そいつは駄目だ。お前のような可哀らしい女の子を連れて、どこまで往くか分からん旅が出来るものか。