Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

「おとなしいお方だけに、くやしさも一しおでございますよ、ねえ――それはそうと、お前さま、ほんとに戻ってくるのでしょうね。待っていますからねえ」

「はい。お駒を店へ送り届けて、その足で引っかえしてまいります」

急に赧い顔をしたおせい様から、残っている色気が発散した。それは夕やけのようにはかないものだ。

「だまかすとききませんよ」

おせい様は、帰って行くふたりを、心配そうに見送った。いつまでも上がり口に立っていて、奥へはいらなかった。

お駒は、まだ顔をおおったまま磯五に注意されても、おせい様に挨拶もしないで、出て来た。

拝領町屋の横町をまがって、雑賀屋の寮が見えなくなると、磯五はぐいとお駒ちゃんの腕を握った。磯五は、どういうわけか、このお駒のことを、ふたりきりでいるときは、お駒ちゃんと、ちゃんづけにして呼ぶ習慣なのだ。

「ほんとか、あのことは」

お駒ちゃんは、長い袂をぴらしゃらさせて、くっくっと咽喉で笑っているのだ。

「みんなほんとですよ。ちょいと吉田屋へ住みこんで小さな仕事をしたのが、へまをやって、ばれたことがあるんですよ。いやなところへ、いやなやつが出て来たもんだねえ」