Japanische Klassiker mit Furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme
手に取って見ると、国からの手紙だ。心は狂っていても、流石に父の事は気になるから、手早く封を切って読むと、まず驚いた。
五十九
此手紙で見ると、大した事ではないと思っていた父の病気は其後甚だ宜しくない。まだ医者が見放したのでは無いけれど、自分は最う到底も直らぬと覚悟して、切りに私に会いたがっているそうだ。此手紙御覧次第直様御帰国待入申候と母の手で狼狽えた文体だ。
私は孝行だの何だのという事を、道学先生の世迷言のように思って、鼻で遇らっていた男だが、不思議な事には、此時此手紙を読んで吃驚すると同時に、今夜こそはと奮り立っていた気が忽ち萎えて、父母が切りに懐かしく、何だか泣きたいような気持になって、儘になるなら直にも発ちたかったが、こうなると当惑するのは、今日の観劇の費用が思ったよりも嵩んで、元より幾何もなかった懐中が甚だ軽くなっている事だ。父が病気に掛ってから、度々送金を迫られても、不覚怠っていたのだから、家の都合も嘸ぞ悪かろう。今度こそは多少の金を持って帰らんでは、如何に親子の間でも、母に対しても面目ない。といって、お糸さんに迷ってから、散々無理を仕尽した今日此頃、もう一文の融通の余地もなく、又余裕もない。