Japanische Klassiker mit Furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme
明日の朝二番か三番で是非発たなきゃならんがと、当惑の眼を閉じて床の中で凝と考えていると、スウと音を偸んで障子を明ける者が有るから、眼を開いて見ると、先刻迄待憧れて今は忘れているお糸さんだ。窃と覗込んで、小声で、「もうお休みなすったの?」といいながら、中へ入って又窃と跡を閉めたのは、十二時過で遠慮するのだったかも知れぬが、私は一寸妙に思った。
「どうも有難うございました」、とのめるように私の床の側に坐りながら、「好かったわねえ」、と私と顔を看合わせて微笑した。
今日は風呂日だから、帰ってから湯へ入ったと見えて、目立たぬ程に薄りと化粧っている。寝衣か何か、袷に白地の浴衣を襲ねたのを着て、扱をグルグル巻にし、上に不断の羽織をはおっている秩序ない姿も艶めかしくて、此人には調和が好い。
「一本頂戴よ」、といいながら、枕元の机の上の巻烟草を取ろうとして、袂を啣えて及腰に手を伸ばす時、仰向きに臥ている私の眼の前に、雪を欺く二の腕が近々と見えて、懐かしい女の香が芬とする。
「何だかまだ芝居に居るような気がして相済まないけど」、とお糸さんが煙草を吸付けてフウと烟を吹きながら、「伯母さんの小言が台詞に聞えたり何かして、如何なに可笑しいでしょう」