Japanische Klassiker mit Furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme
が、口で息巻く程には心で思っていなかったから、自分もいつか其程に擯斥する恋に囚われて了ったのだが、流石に囚われたのを恥て、明かに然うと自認し得なかった気味がある。から、若其頃誰かが面と向って私に然うと注意したら、私は屹度、失敬な、惚なんぞするものか、と真紅になって怒ったに違いない。が、実は惚れたとも思わぬ中に、いつか自分にも内々で、こッそり、次序なく惚れて了っていたのだ。
惚れた証拠には、雪江さんが留守だと、何となく帰りが待たれる。家に居る時には心が藻脱けて雪江さんの身に添うてでも居るように、奥と玄関脇と離れていても、雪江さんが、今何の座敷で何をしているかは大抵分る。
雪江さんは宵ッ張だから、朝は大層眠たがる。阿母さんに度々起されて、しどけない寝衣姿で、脛の露わになるのも気にせず、眠そうな面をしてふらふらと部屋を出て来て、指の先で無理に眼を押開け、の裏を赤く反して見せて、「斯うして居ないと、附着いて了ってよ」、といって皆を笑わせる。
雪江さんは一ツ橋のさる学校へ通っていたから、朝飯を済ませると、急いで支度をして出て行く。髪は常も束髪だったが、履物は背が低いからッて、高い木履を好いて穿いていた。