Japanische Klassiker mit Furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme
紫の包を抱えて、長い柄の蝙蝠傘を持って出て行く後姿が私は好くって堪らなかったから、いつも其時刻には何喰わぬ顔をして部屋の窓から外を見ていると、雪江さんは大抵は見られているとは気が附かずに、一寸お尻を撫でてから、髪を壊すまいと、低く屈んで徐と門を潜って出て行くが、時とすると潜る前にヒョイと後を振向いて私と顔を看合せる事がある。そうすると、雪江さんは奇麗な歯並をチラリと見せて、何の意味もなく莞爾する。私は疾から出そうな莞爾を顔の何処へか押込めて、強いて真面目を作っているのだから、雪江さんの笑顔に誘われると、耐え切れなくなって不覚矢張莞爾する。こうして莞爾に対するに莞爾を以てするのを一日の楽みにして、其をせぬ日は何となく物足りなく思っていた。いや、罪の無い話さ。
三十三
午後はいつも私が学校へ行った留守に、雪江さんが帰って来るので、掛違って逢わないが、雪江さんは帰ると、直ぐ琴のお稽古に近所のお師匠さんの処へ行く。私は一度何かで学校が早く終った時、態々廻道をして其前を通って見た事がある。三味線のお師匠さんと違って、琴のお師匠さんの家は格子戸作りでも、履脱に石もあって、何処か上品だ。