Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいちがいものがたり
思い違い物語
山本 周五郎
Lesen Sie 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.840 Zeichen · 88 Bildschirme
その背中へ、右衛門が思いだしたようにどなった。
「屋根の上で凧などあげてはならんぞ」
そして両手で耳を塞いだ。泰三がまたなにか云うかと思ったのであろう。だがそれを見て、泰三は黙ってもういちどおじぎをして去った。
「なんというやつだ」
もう安心とみて、右衛門は両手を耳から放して妻を見た。
「あんなに狎れ狎れしいやつは見たことがない、またあのずうずうしさとむやみに饒舌ることはどうだ、これはとんだ者を引受けたらしいぞ」
「わたくしも吃驚しました」
みね女は半分がた笑いながら云った。
「十時ころに着いたのですが、すぐ裏へいって薪を割りまして、十束ばかり割ったそうですけれど、そのあいだに下女のお花を泣かせまして、飯炊きの吉造の腕を抜きまして、隣りの村田さまの有之助さんと口論をなさいまして、裏木戸を毀しまして」
「まあ待て、いや待て、その下女を泣かしたとか吉造の腕を抜いたというのはどうしたわけだ」
「お花も泣くほどのことはないのですが、あれは御存じのように縹緻が自慢でございます、自分ではこの城下で幾人のなかにはいると思っているのを、泰三さんが踏ん潰したひょっとこのようだとお云いなすったそうで、それから吉造ですけれど、あれは左の腕が少し短いんですの、自分では右が長いんだと云っておりましたが、それを左が短いんだから同じ長さにしてやる