Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こいのでんしちろう

恋の伝七郎

山本 周五郎

Lesen Sie 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.650 Zeichen · 60 Bildschirme

Aozora Bunko

んじゃあねえか」「そんな痛みじゃあないんだが、どう……」と云いかけて伝七郎は低く呻った、「ああそうか、村松にやられたんだ」「村松って銀の字か」「うん、今日また例の手で無理やり稽古をつけられたんだ、ひっ外されてのめるところを、後からちょいと突かれたが、あれだ」「ひでえことをしやあがる、傷にでもなってやあしねえか」「なにそんな大袈裟なもんじゃあない、それにこんなものはもう一つのことに比べればお笑い草さ」「もう一つのことって、他にまだなにか悪さをやったのか」「あいつ……」云いかけてちょっと口ごもったが、いいかげん酔ってもきたし口惜しさが羞恥心に勝ったのだろう、彼はぐいと前こごみになってこう云った、「あいつ今日、道場のまん中でおれに恥をかかせやがった、そんなにだらしのねえ態をしていると、幾ら焦れたって美しい人に嫌われるぞとよ」「美しい人てえのはなんだ」「ひと口に云えば女ということさ、恥を云わなきゃあ理がとおらねえ、おまえだからざっくばらんに云っちまうが、伝さん、おれには三年まえから心に想っている人がいるんだ」「初耳だぞ、そいつは」「相手は道場の師範の娘さんで三枝というんだ、世間なみに云えば美人というほどじゃあねえだろう、背も低いし色もあんまり白くはない、ただいつも笑っている