Japanische Klassiker mit Furigana
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こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Lesen Sie 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.650 Zeichen · 60 Bildschirme
忠太郎はそう云って立つと、そこに供えてある華立を取って外へ出ていった。……後に残った伝七郎、そこに倒れている三枝を静かに起してやったが、柔かい体の手触りとむすような香料にうたれて、にわかに相手が哀れになりだした、「三枝どの、なんとも申しわけのないことをして、まことに済みません」と、彼は声を震わせながら云った、「しかしこれ以上乱暴なまねや不作法なことは決してしませんし、もし貴女が、……そうです、貴女がもしお望みなら無事にお宅へお返しを致します。ただ一つ、こんな無謀なことをしなければならなかった私の心中を察して下さい、他のことはなにも云いません、私は貴女に身も心も奪われていました」「…………」「もちろん私は自分の値打ちを知っています、学問も武芸もできず人間はこのとおり醜いし口もろくに利けない、まったく取柄のない人間です、だから貴女を妻に欲しいなどと考えたことはいちどもないし、自分の心を知って頂こうとさえ思ったことはありませんでした、ただ遠くからそっと貴女を見ること、貴女がいつまでもお仕合せで、絶えず頬笑んでいるような美しいお顔つきが曇る