Japanische Klassiker mit Furigana
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あくにんのむすめ
悪人の娘
野村 胡堂
Lesen Sie 悪人の娘 (あくにんのむすめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.405 Zeichen · 27 Bildschirme
あの金は細民の膏血を絞った因縁のある金で、一銭と雖ども無駄には出来ないのです。せめて元金の何割でも何分でも、出来るだけ多く、気の毒な預金者達に返してやらなければならなかったのです。
横網で私と部下の者が権堂を襲ったのも、持って居る不正の金を全部取り上げる為でしたが、もう一つは権堂が、一銭も身についた金が無くなると、キッと金を隠した場所へ取出しに出かけるに相違ないと思ったからです。権堂は悪い奴に相違ありませんが、乞食の方は本当の新米で、人から物を貰う勇気がないから、金が無くなると一日も生きて行けないのでした。
セメントの粉では全く騙されましたよ。あれは権堂が私等を外へおびき出す欺術です、イヤもう大笑い……。
浅野セメントの近所をしらべて、何んにもないのでがっかりして帰って来ると、橋桁にチラリと太い縄が一本見えたのです。あんな所に縄があるわけはありません、人間が居て、落ちないように身体を縛って居るか、でなければ、かなり大きい荷物を橋桁の上へ隠してあるに相違ありません。
もし権堂が居るとすれば、橋の上から廻っては、反対側へ抜けて逃げられてしまいます。そんな事は百方研究し尽して居るでしょうから、うっかり手が出せません。