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Japanische Klassiker mit Furigana

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あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

警官はその私の態度を気の毒な落胆ととってくれた。バットを一本くれ、すまなさそうにしていたのは、むしろその「オジさん」だった。

「せっかく、雨の中を沢山歩きまわったにのう」彼は合羽をゆすりあげていった。私は答えられなかった。目を伏せたまま私は頭をさげ、挙手の礼をする警官と別れた。ひどくわるいことをした気がして、彼といっしょに歩くのがつらくてならなかった。いく度もけつまずき、はねあがったりよろめいたりしながら、私は石ころの多い道を歩いて行った。ふと、それが、私の現実そのもののような気がしていた。

雨は上り、夜は薄れていた。空がいちめんに白みはじめている。黒い狂気は消え、私はしずかな屋敷町の朝のなかに生れ出ようとしていた。くろぐろと揺れる木々が、濡れた緑の色をとりもどしはじめている。かるい音をたてて木々は雨をおとし、私の靴音は濡れそびれたながい石塀の肌をつたった。私はなにも考えなかった。ふかい疲労の霧があった。私はねむたかった。

「クボさあん、クボさん」と、すると太い男の声が呼んだ。私はふりかえった。中年の警官が合羽を脱ぎ、片手をあげ私を追って走ってくるのだった。