Japanische Klassiker mit Furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme
どうかこれからいつまでも見捨てずにいただければ、有り難いんだけれど、」と、ふっと歎息をさえもらしてひとり言のようにぶつぶつと云うのである。由良は何ともそれにも答えることが出来ず、腹立たしさを圧えてじっと反対の方ばかりを見ていたが、ふと、学者の娘を此の信者はここらあたりでいつかこれと同じ目にのせたのではないかと思った。それなら定めし娘も困ったことであろうと由良は思うと、あらためて我が身にひき較べながらあたりの草の中を見廻した。しかし、信者も自分を嫌いでそんなことを云っているのではなく、好きなればこそこんな馬鹿な真似までする気になったのであろうから、そうしてみればさきに信者が自分に怒ったのも娘への嫉妬ではなく、もしかしたら変態気味の彼のことなら娘へ心を奪われている自分への嫉妬だったのかも分らないと、今まではっきりしていたこともどっちがどうなのだかまた怪しくなって、いったい自分は此の男にこの先きどうされるのであろうかと、ますます由良はうす気味悪くなって来た。けれども、もともとは由良から信者へ近づいていったのだから、少々の不愉快なことがあっても当分はまア辛抱しなければならぬと思って、草むらのなかをぬけて硫黄がうす黄色く底に溜っている小川に添い、むらむらと水流から立ちのぼっている湯もれの湯気を裾に暖く感じながら、