Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme
二人はまた小山の中の道へ這入っていった。ところがそこまでいくと、いつの間にやら夢殿村が丁度正面へ廻って来ていて歯朶の葉むらの中からはっきりと現れたので、由良は思わず立ち停った。
「あれは君、夢殿村じゃないですか。」
「そうです。あれは夢殿村ですがここをこう行く道は間道で、一番近い。」
由良はぎょっと冷めたくなったが、そんなことにはびくともしない信者が傍にいるので、そう無闇に驚くことも出来ず、また信者について歩いていくと、信者は急に、「あれ。」といって振り返って夢殿村の方を指差した。由良は丁度魔物でも見る前兆のような恐怖に襲われていたときとて、はっとして何となく身構えたが、よく見ると信者の顔はにこやかに微笑しているので、何の意味とも分らず由良も夢殿村の方を一緒に見ると、なるほどかすかではあるが、音楽隊の海軍マーチの音がのどかに高原の傾斜面を伝って聞えて来る。
「あれは患者たちが祭りの練習をしているのですよ。」
そう云うと信者は由良に教えたことが嘘ではなかったのを喜ぶようにまた歩き出した。すると、由良ももうそれからは、奇妙にも今まで夢殿村から無意味におびやかされていた恐怖はなくなってしまって、晩秋の野面に立った柊の梢から、白い粉のような花がぼろぼろこぼれ落ちて来るあたりの風景までが、しっとりと身に沁み始め、定めし