Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

とご飯が、ちゃんとできているといったぐあい……よごれた食器を、皿洗い機に入れておくと、ひとりでに皿が洗えて、いつでも使えるようにきれいになるし、コックをひねると、熱湯でもアイス・ウォータアでも、お望みどおりに出てくるの……お台所の屑や汚物は、みな機械が処分してくれるし、お掃除といえば、ヴァキュウムの柄を握って、家のなかをブラブラ歩きまわるだけ……一日でいいから、あんな家に住んでみたいわ」

百々子は、二人のうしろに立って、いっしょになって石田邸を見あげた。

麻布の家は谷町を見おろす市兵衛町の崖の上に建っている。いぜんは地境いの松の樹牆が、ほどのいい目隠しになっていたが、陽気な国の陽気な借家人どもが、日蔭になるのを嫌って、松のあたまをちょん切ってしまったので、建物の裏側が、坂の下から露骨に見すかされるようになった。

谷町の谷間の底から見あげると、わが石田家の建物は、朱鷺色や、黄や、緑や、その間色の雑多なペンキで、にぎにぎしく塗りあげられているので、古い三色版画のミシシッピー河のショオ・ボートにそっくりなようすをしている。それだけでも、もう日本のものではないが、その緑も、黄も、桃色も、われわれの感覚にない斬新性をもっている。