Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

緑は、青林檎の緑という独得の緑で、桃色は、アフリカ鷺の胸毛の桃色という、ふしぎな桃色である。

遠くから見ると、一見まぎれもないアメリカの居住だが、それは建物の上っ面になすった塗料だけのことで、その下に、封建の最盛時に建てあげた古い御所造りの屋台と、高慢な明治の洋館の骨格がひそんでいることに、気のつくものはない。

アメリカ風の見掛けさえしていれば、どんな家にも、かならずリテリティ・ファースト(実利第一)の、快適なアメリカン・ライフがあると考えるのは浅見である。百々子は、甘い夫婦を見捨てて、急な坂をおりだしたが、みょうに気持がこじれてきて、その二人に、

「失礼ですが、あの家には、アメリカン・コモンウェルスといったようなものは、ひとつもありません。いま、なにかおっしゃっていたようだけど、それは見当ちがいというものですよ」

と、いってやりたくてムズムズした。

甘い夫婦連れは、見せかけの派手な色彩に眩惑され、あの家のなかに、どんなすばらしい生活があるのだろうと、勝手な想像をしていたが、麻布の家における、わが石田家の日常は、渋谷のバラック生活の伝統をそのままひきついだ、なんの変哲もないものだった。