Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

半成の画が美しいように断簡にはいい知れぬ情緒が見いだされた。その中に正しく織り込まれた葉子の過去が多少の力を集めて葉子に逼って来るようにさえ思え出した。葉子はわれにもなくその思い出に浸って行った。しかしそれは長い時が過ぎる前にくずれてしまった。葉子はすぐ現実に取って返していた。そしてすべての過去に嘔き気のような不快を感じて箱ごと台所に持って行くとつやに命じて裏庭でその全部を焼き捨てさせてしまった。

しかしこの時も葉子は自分の心で倉地の心を思いやった。そしてそれがどうしてもいい徴候でない事を知った。そればかりではない。二人は霞を食って生きる仙人のようにしては生きていられないのだ。職業を失った倉地には、口にこそ出さないが、この問題は遠からず大きな問題として胸に忍ばせてあるのに違いない。事務長ぐらいの給料で余財ができているとは考えられない。まして倉地のように身分不相応な金づかいをしていた男にはなおの事だ。その点だけから見てもこの孤独は破られなければならぬ。そしてそれは結局二人のためにいい事であるに相違ない。葉子はそう思った。

ある晩それは倉地のほうから切り出された。