Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
しかし葉子はそうはさせなかった。そして急いで戸を締めきってから、電灯のスイッチをひねった。火の気のない部屋の中は急に明るくなったけれども身を刺すように寒かった。倉地の顔は酒に酔っているように赤かった。
「どうした顔色がよくないぞ」
倉地はいぶかるように葉子の顔をまじまじと見やりながらそういった。
「待ってください、今わたしここに火鉢を持って来ますから。妹たちが寝ばなだからあすこでは起こすといけませんから」
そういいながら葉子は手あぶりに火をついで持って来た。そして酒肴もそこにととのえた。
「色が悪いはず……今夜はまたすっかり向かっ腹が立ったんですもの。わたしたちの事が報正新報にみんな出てしまったのを御存じ?」
「知っとるとも」
倉地は不思議でもないという顔をして目をしばだたいた。
「田川の奥さんという人はほんとうにひどい人ね」
葉子は歯をかみくだくように鳴らしながらいった。
「全くあれは方図のない利口ばかだ」
そう吐き捨てるようにいいながら倉地の語る所によると、倉地は葉子に、きっとそのうち掲載される「報正新報」の記事を見せまいために引っ越して来た当座わざと新聞はどれも購読しなかったが、倉地だけの耳へはある男(それは絵島丸の中で葉子の身を上を相談した時、甲斐絹のどてらを着て寝床の中に二つに折れ込んでいたその男であるの