Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

……ふだんの葉子ならばなんというばかだろうと思うような事をおどおどしながらまじめに考えていた。

その時階下で倉地のひどく激昂した声が聞こえた。葉子ははっとして長い悪夢からでもさめたようにわれに帰った。そこにいるのは姿は元のままだが、やはりまごうかたなき貞世だった。葉子はあわてていつのまにか膝からずり落としてあった白布を取り上げて、階下のほうにきっと聞き耳を立てた。事態はだいぶ大事らしかった。

「貞ちゃん。……貞ちゃん……」

葉子はそういいながら立ち上がって行って、貞世を後ろから羽がいに抱きしめてやろうとした。しかしその瞬間に自分の胸の中に自然に出来上がらしていた結願を思い出して、心を鬼にしながら、

「貞ちゃんといったらお返事をなさいな。なんの事です拗ねたまねをして。台所に行ってあとのすすぎ返しでもしておいで、勉強もしないでぼんやりしていると毒ですよ」

「だっておねえ様わたし苦しいんですもの」

「うそをお言い。このごろはあなたほんとうにいけなくなった事。わがままばかししているとねえさんはききませんよ」

貞世はさびしそうな恨めしそうな顔をまっ赤にして葉子のほうを振り向いた。