Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

あとには燃えるような青空の中に不規則な屋根の波ばかりが目をちかちかさせて残っていた。葉子はなぜにとも知れぬため息を深くついてまんじりとそのあからさまな景色を夢かなぞのようにながめ続けていた。

やがて葉子はまたわれに返って、ふくよかな髪の中に指を突っ込んで激しく頭の地をかきながら部屋に戻った。

そこには寝床のそばに洋服を着た一人の男が立っていた。激しい外光から暗い部屋のほうに目を向けた葉子には、ただまっ黒な立ち姿が見えるばかりでだれとも見分けがつかなかった。しかし手術のために医員の一人が迎えに来たのだと思われた。それにしても障子のあく音さえしなかったのは不思議な事だ。はいって来ながら声一つかけないのも不思議だ。と、思うと得体のわからないその姿は、そのまわりの物がだんだん明らかになって行く間に、たった一つだけまっ黒なままでいつまでも輪郭を見せないようだった。いわば人の形をしたまっ暗な洞穴が空気の中に出来上がったようだった。始めの間好奇心をもってそれをながめていた葉子は見つめれば見つめるほど、その形に実質がなくって、まっ暗な空虚ばかりであるように思い出すと、ぞーっと水を浴びせられたように怖毛をふるった。