Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
そしてなおつくづくと父の顔を眺め悲しんだ。
父の立てた茶は温和にしっとりした味いと湯加減の適度とをもって、いつも美しい緑のかぐわしさを湛えていた。それは父の優しい性格がそのまま味い沁みて匂うているようなものであった。
父はいつも朱銅の瓶かけを炉の外にも用意してあった。大きさから重さから言っても実に立派なものであった。父はいつも、
「わしが死んだらお前にこの瓶かけを上げよう。」と言っていた。
そして時おり絹雑巾で朱銅の胴を磨いていた。私もほしいと思っていた。(父の死後、私はこの瓶掛を貰った。いまはこの郊外の家の私の机のそばにある。)
表の評判は悪かった。表が劇場や縁日を夜歩きすると、町の娘らは道を譲るように彼を避けるほどになっていて、みな、うしろから指をさしながら、この優しい不良少年を恐がった。女学校などでもたいがい表の名前が知れていたらしかった。
そのころ、表は公園のお玉さんという、掛茶屋の娘と仲よくしていた。藤棚のある小綺麗な、噴水の池が窓から眺められる茶店で、私もよく表につれられて行った。お玉さんはメリンスの前垂れをしめていて、表とはいつのまにか深い交際をしていた。