Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme
「何をするの、三蔵」
「来いっていうんだ。さ、来やがれ」
「無礼でしょう」
於通は、振りほどいて、むしゃぶりつく三蔵の胸を、突きとばした。
三蔵は、くちを噛んで、
「よしっ、こうなれや、腕ずくでも、連れてゆく」
於通のきき腕を、小脇にとらえ、男の力で、駈けようとした。
於通は、大きな声で、助けをよんだ。
かの女のすがたを探していた浅野弥兵衛は、
「や。狼藉をうけておる。はやく参って、痴れ者を追え」
と、供の武士へ云った。
槍が四、五本駈けて行った。
三蔵は、ふり向いて、
「こいつは、いけねえ」
と、うろたえたが、せっかく捉えた於通の腕に、未練を見せて、
「よくもおれを、だましやアがったな。みろ、きっと、思いとげて見せるから」
と、於通の白い手くびへ、咬みついて、あざらかな歯型を与えた。
悲鳴をこらえて、於通は身をねじまげた。その体を、突き仆して、
「阿女。わすれるなっ」
三蔵は、捨てゼリフを投げ、脱兎のごとく、草の波を蹴って、逃げ去った。
「どうなされました」
武士たちの二人は、三蔵を追ったが、とどかなかった。あとの者は、かの女をいたわって、川原の渡し口に待っている弥兵衛のそばへ連れて来た。