Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme

Aozora Bunko

そして幕下の諸将は、境内の末院を宿舎としていた。

藤吉郎は、その一院を出て、久しぶりこの世の美しい星を仰いだ。もう五月になるかと思う。

「生きているな。この体」

と、ぴちぴち意識する。何だか非常にうれしいのである。

夜中だが、信長に眼通りを願った。待っていたようである。すぐ会った。

「藤吉郎、何がうれしいのだ。非常にそちは爽やかそうに、にこにこしておるではないか」

「これが欣しくなくて何といたしましょう」――と、彼は答えた。

「日頃は、この生命など、有るとも持っているとも、ありがたくは覚えませんが、死中から拾ってみると、なんとも、愛しくて、歓ばしくて、生命のほか、何物も要らない気がいたします。――こうして、燭の明りを見られるのも、殿のお顔を仰がれるのも、生きていればこそと、勿体なく、ただありがたく思われまして」

「ううム……そうよのう」

「殿の御心懐は」

「残念でならぬ……」

「まだ、遠征の惨敗を、苦にしておられますか」

「信長、初めて、敗戦の辱と苦い味を知った」

「道理で、すこし茫然とお見うけ申されます。それがしのように、お考えなされませ。どこに、敗北の苦味を嘗めないで、大事をなした者がありましょうや。