Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
天文四年の生れとあるから、彼は今年まだ二十九歳、白面の一軍学書生でしかない。
信長より一つ下、秀吉より一つ年上であった。
――だのに、もう乱世の功名を見限って、栗原山に一庵をむすび、風月をたのしみ、古人の書を友とし、詩を作り、薪を割って、たまたま訪れる客にも、決して会わないという――里では噂だった。
よほどな変り者か。
偽者か。
そういわれていい筈なのに、かえって、半兵衛の名は、美濃一国に、人々から尊敬の的になっているのみか、敵国の尾張まで薫しく聞えている。
「見たい」
これが藤吉郎の第一の念願であった。胸に計っている成功はむしろ第二義的であった。
「会って、彼という人物を、親しくみたい」
偽らない気もちはそれである。同じ世に生れあわせた人間の仲間に、そういう稀有な人傑がいるのを、会いもせずに過ぎてしまうのは口惜しい――。ましてそれを敵に廻したら、遂に、そういう人傑を、殺すことに熱中しなければならなくなる。そんな遺憾はあるまい。
人生の大不幸だ。
「彼が、人を避けて会おうが会うまいが、とにかくおれは行って会う」
藤吉郎の信念だった。成功を祈らない。不成功も思わない。