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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は驚きのあまり、半兵衛を糺すこともせず、また、一矢も酬わず、わずかな側臣と、一部の城兵に守られて、命からがら祖先の城を立ち退き、稲葉郡黒野村の鵜飼城へ逃れてしまった。

こうして半兵衛重治は、たった十六人の郎党をもって、稲葉山城を占領してしまったが、もとより謀叛の心ではないので、城下に呼んだ三千の兵には、厳として軍律を立て、また、岐阜の町々、近郷にわたっては、

(――立ち騒ぐことはない、おまえたちは稼業を守っておればよい。これは国内大乱とはちがう。安心して土着しておれ)

と、いう意味の布告をまわし、寺院などへは殊に書状を添えて、村々の百姓へよく諭示するように伝えた。

だから稲葉山城は一夜にして空城となっても、半兵衛重治がそれに坐って、城下の平和はすこしも紊れなかったが、四隣の国々は、その実相を知ると、彼の鬼謀胆略に驚倒した形で、この機に――とばかり争って彼に款を通じて来た。

いわく。

――美濃を分け奪りにしようじゃないか。こっちからも物資兵力をいくらでも貸すから。

いわく。

――この機に、断乎、龍興を打ってしまうがよい。そして足下と国境の約を定めて、共に長く栄えるの計を立てようではないか。