Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

ところが、

「おう」

と、答えて出て来たのは、きのうと変らない小熊だった。

「ヤ。また来たね、小父さん」

「きょうはお会いねがえるであろうかいかがか。先生の御意を伺ってもらいたい」

小熊は、奥へ取次いだのか、取次がないで云っているのか、すぐ取って返して来て、

「断ると仰っしゃった」

と、相変らず膠もない。

藤吉郎は、ていねいに、

「然らばまた、ごきげんの宜しい折に、伺い直そう」

と、帰った。

一日おいて、また登って来た。

「今日はお会い下さろうか」

小熊は、形のごとく、奥とそこを往復して、

「度々うるさい、と仰っしゃった」

と、ありのまま、断った。

その日も、藤吉郎は黙然と帰った。こういうふうに何べんか訪問した。しまいには、彼の顔を見ると小熊は笑ってばかりいて、

「小父さん、根気がいいね。だが、いくら根よく来てもむだだぜ。この頃は奥へ取次いだって、先生も怒るより笑っていらっしゃる。てんで相手にしないんだよ」

と、いった。

少年は親しみやすい。彼と彼とは、もう憎み合えない馴じみになっている。藤吉郎は、そういわれても、また翌る日は登って来た。

麓で待っている佐屋桑十は、主人の気持が知れなかった。