Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

きょうは、この雨さに、臥床の中におりますから、他日、こちらから迎えをさしあげた折、来ていただきたいと申しますので」

と、断った。

藤吉郎が思うには、おそらくこれは、この女性が、自分を気の毒と思い、自分の去った後で、兄の半兵衛へ縋って取り做してくれたのではあるまいか。――ふと、そんなことを思った。

「いつでも、よろしい日、お使いを賜われば参じます」

「お宿は」

「ふもとの南宮村の百姓、大きな欅の木のある茂右衛門が家に泊っております」

「では、雨でも霽れましたら」

「お待ち申しています」

「お寒いでしょう、雨にぬれて。――竃部屋で、お袖でも乾かし、粗末ですが、芋粥なと召し上がって行ってください」

「いえ、他日の参上を楽しみに、お暇いたします」

彼は、雨を衝いて、山を下りて行った。

雨は翌日も、次の日も、降りつづけた。栗原山は、白雲につつまれたままで、使いの沙汰もなかった。

ようやく霽れ上がって、山の秋色はすっかり新たになった。はぜ、漆の木などの、早い紅葉が真っ紅になりだした。

「小父さん、迎えのお使いに来たよ」

朝だった。小熊は、茂右衛門の門へ、牛を曳いてやって来た。