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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

まことに山中の閑居らしい。粗土と松の丸柱にすぎない床の間を見ると、

夢

という一字の横幅が懸かっている。誰か禅家の筆蹟らしい。

(……よく退屈せずに住んでいられるなあ――)

偽らない気持で彼はそう思った。ここの主人の心事が怪しまれた。自分には三日も住んでいられまいと思う。こうしている間でさえ、体が持て余されてくる。

耳は、松風や禽の音に洗われていても、頭は、洲股へ駈け、小牧山へ通い、血は風雲に沸々と騒いでいる。まったくここの「寂」と彼とは、べつ物であった。

「やあ、お待たせしました」

うしろで若い声がした。それが主人の竹中半兵衛だった。若い――それはかねてから知っていることだったが――声に接して特にまた、そんな気がした。

主人が、末座にすわって、挨拶しかけたので、藤吉郎はあわてて、

「いや恐れ入る。どうぞ、どうぞ……。初めてお目にかかります。それがしは尾州織田家の臣木下」

と、云いかけるのを、半兵衛は物やわらかに抑えて、

「かた苦しい挨拶は略そうではありませんか。きょうお迎え申したのも、そんなつもりではありませんから」

藤吉郎は、何か先手を打たれた気がした。