Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

「大事ない」

「……あれ」

「何を躁ぐ、耳こすりじゃ、そっと申そうものを、はて、心ない声を出すものかな」

「いけません」

そこへ半兵衛が退って来た。藤吉郎も気づいて、あわてておゆうから離れた。半兵衛は呆れ顔して佇んでいたが、

「殿。なんの御酔狂でござりますか」

「やあ」

と、藤吉郎は、頭へ手をやった。そして自分の愚を笑うのか、人の無粋を嗤うのか、大口をあいて、

「いや、何。隣交遠計だ。気にするな、気にするな」

その後。秋頃となってから。

蜂須賀彦右衛門が、半兵衛にはなしを持って来た。それは、

「お妹のおゆう殿を、御母堂のお侍女に上げてくれないか」

ということだった。

藤吉郎は夏から信長の岐阜城へ出仕のままで留守だった。で、半兵衛が、

「それは、誰からのお望みで?」

と、問うと、主人自身が、岐阜城から書面をよこしての指図だという。

「御孝心の篤い殿なので、お留守中も、御母堂のことのみお案じあって、心ばえのよい侍女を――とお名ざしで申し越されたとのことです」

「それは、妹にとって、名誉なことではござるが、妹の胸を聞いた上で」

と、半兵衛は、一応ふくんでおくに止めて、べつの日、おゆうにそのことをはなしてみた。