Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
……が、数十歩も去ると、彼の方から振り向いて、まだ自分を見送っている女の姿へ、
「鎧師春斎の娘であったな。……もう人妻となったとみえる」
道を曲った。
それから一刻も後。
彼の姿は、また、長良川の畔に見えた。旅程でも考えているのか、岸の草むらに腰を下ろして水を見ている。いつまでもいつまでも飽かずに見入っている。
葦が蕭々と鳴る。
うそ寒い秋の陽は、もう舂きかけていた。
「お武家」
誰か、後ろへ来ていた。肩を打たれて振り仰ぐと、一人ではない。織田家の家中であろう、そして恐らくは常に城下をそれとなく見廻って歩いている警備の役人であろう。三人連れである。
「何しておられる?」
無事な訊ね方である。けれど、眼を揃えて彼の上に注いでいる三名の顔つきは、十分に、疑いを湛えていた。
「ちと歩きつかれたので休んでおる。織田家の役人衆でお在すか」
と、彼も穏やかに、草の塵を払いながら立っていう。
「いかにも」
と、役人口調になった。
「何処より参られて、何処まで行かるるか」
「越前より参ってござる。この岐阜城のお内に、縁故の者がおりますゆえ、会う伝手を求めておりますので」
「御家中の士に」