Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
「おつかれでござりましょう」
私邸に引き揚げると、ほっと一日の吐息が出る。彼の妻は、毎夜、そうした顔いろを迎えた。
「きょうお留守に、御城内から、ついでのお使いがあったとやらで、蘭丸からお父上さまへと、お手紙が参っておりまする」
「ほ……。そうか」
蘭丸と聞くと、可成の顔は綻んだ。まだ乳くさい幼少からお城へ上げてある子だった。もとより何のお役にも立たないのは知れているが、愛らしい者と、信長から眼をかけられて、お側へ出してあった。それでも近頃はお小姓の中に交じって、どうやら何か勤めているらしいので、可成も、城内の便りは楽しみの一つだった。
「何の便りでございましたか」
「いや、無事なことと、殿様のごきげんのよいことのみしか書いてない」
「いつぞや、池田様のおはなしでは、蘭丸は風邪ごこちとか、幾日か、殿様のお側にも見えなんだとの仰せでしたが、病気のことは、何か書いてございませぬか」
「至極、元気と書いてある」
「あの子は、人いちばい賢うございます。親に案じさせまいと、気をつこうているのでございましょう」
「そうだろう。まだ他愛ない年ごろとはいえ、始終、君側におるのも気の張るものだ。