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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

……この上は、南宗寺の和尚のお力にでも縋ってみるほかは、よい思案もあるまいが」

誰の顔も、暗かった。不吉ばかり予感されて、いたずらに、嘆息と嘆息が、よけい家族の憂いを深くさせるのみであった。

すると、道安の嫁のおきぬが、母屋の渡り縁の辺りで、何か大きな声を放った。つづいて、家族や召使たちの声がこもごも聞えた。

「お帰りじゃ」

「御無事に。……おお」

「旦那さまが」

「お父さまが」

狂喜に弾む口々の声なのである。

「えッ? ……。宗易どのが、おもどりになられたと」

客たちも、道安も、思わず腰をうかせて、そのまま庭へ走り出てみた。――ほっと眉はひらきながらもなお、嘘のようなここちもするのであった。

宗易は帰って来た。裏庭の木戸口から、昼間、そこから出て行った時の姿と、少しも変らない態で、静かに、わが家の庭へはいって来た。

ただ。――変ったことに見られたのは、三、四名の具足をつけた武者が、眼を光らせて、物々しそうに、その宗易の後前について、警固して来たことだった。

ひそやかな茶庭の木々は、その青苔を、見つけない武者わらんじに踏まれて、物恟えでもしたように、その具足の人影や、主の肩に、チラと、木の葉を降りこぼしていた。