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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

宗易の瞑目はつづいた。

食堂の闇は、夜も昼もけじめがない。

暴風のような外界の物音が遠くからつつんで来る。宗易は、その寂寞の中から、織田軍と三好党の戦いを――また刻々、推移してゆく世間の相を、眼で見るように体じゅうに感じていた。

織田軍は、堺へ突入して来たらしい。

続いて、要所の占領を完遂したものと思われた。それは、この寺域の十河一族の陣営が、極度な混乱に墜ちたかと思うと、やがて墓場の如く人気もなくなって、総勢、先を争って逃げ出して行った物音でわかった。

その逃げ際に、

「そうだ。宗易めの処分を」

と、気づいた十河存保の部将が、彼を刺殺せよと、命じたにちがいない。

「……?」

食堂の重い扉をあけて、中を窺いに来たふたりの武士があった。殺気にみちた眼でぎょろぎょろ見まわした後、手に白刃をさげて、入りこんで来た。

「…………」

宗易は自分を殺しに来た人影をじっと見ていたが、五歩ほど前に彼らが立った途端に、師の笑嶺和尚の喝に倣って、肚の底から大喝した。

「豎子ッ。推参!」

洞窟の中みたいに、声は、ぐわんと食堂の四壁に反響した。すると兵は、足もとを掬われたかのように跳び上がって、何をうろたえたか、ひとりは宗易の頭上の丸柱へ刀をぶつけ、一人はその刀を用いもせず、あわてふためいて外へ逃げて行ってしまった。