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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

――坐って聴け!」

肚の底からというよりも、彼の最後の一喝は、満身から発したように耳を打った。

すると、家の奥まった所からである。ふいに、

「小六殿、坐れッ。坐らにゃ悪いぞ」

と、呶鳴った者があった。

――誰だろうか?

主の小六正勝も振り向いた。藤吉郎も驚いて声のした方へ、眼をみはった。

すると。

中庭から映す青い明りに、そこの奥廊下の口に佇んでいる者が見えた。半身は壁の蔭である。誰やら知れないが、法衣の袖らしいのがちらと見えるのである。

「や。恵瓊どのだな」

小六がいうと、

「そうじゃ」

と、彼方で答え、

「――室の外より失礼なさし出口であるが、御両所の高声に、何を云い争っておられるかと案じられてのう」

幾ぶん笑いをふくんでいるらしく、なおもそこに佇んだまま、恵瓊とよばれた僧はいうのだった。

小六は、穏やかに、

「いやそれは、とんだお耳ざわりであったろう。お案じ下さるまい。今すぐ、この猪口才な使者めをつまみ出してしまいますれば」

「あッ、待てッ小六殿」

それまで、立ち入るのを憚っていた室のしきいを、恵瓊は思わず踏みこえて来て、

「慮外あるな」

と、たしなめた。