Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

治郎左衛門は、脇差に手をかけて、即座に、自決しようとした。

藤吉郎は、あわてて、その手を、固くとらえ、

「あッ、なにを召さるか」

「離しなさい」

「離しません。あなたに屠腹させるくらいなら、何を苦しみましょうか」

「分ッている。だからこの首を進上するのだ。もしお身が卑劣な手を構えて、この首を所望と参れば、大沢治郎左衛門とて、死人の山をきずいても逃げてみせるが――お身の義心に感じ入ったゆえ」

「ま、しばらく……しばらく考えさせて下さい。――そうだ、お互いに死ぬのを争ってみてもぜひないこと。治郎左衛門どの、それ程まで、この藤吉郎をお信じ下さるなら、ここに、あなたも私も生きて、なおなお、武門の面目も立つ一策があるが、何と、もう一歩、織田家へ加担を見せてくださるお心はありませんか」

「もう一歩とは」

「……つまり信長様のお疑いは、あなたの人物を重く見ておられるためです。ですから、ここであなたが一働き、織田家のためにお味方たるの事実をお示し下さるものなら、お疑いも解け、従って、あなたも私も……」

急に、彼は声をひそめた。そして自分の思案を、治郎左衛門の耳へささやいた。