Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
「光秀どの! 惟任どの」
と、すぐ前後を見まわした。
その一瞬へ来ても、彼はまだ光秀のきょうの饗応に見えた好意や、あの温和な物ごしや、なおまた固く誓った和議に対して、疑いをさし挿んでみようとはしなかったのである。
「や。お見えになりませんが」
「いや、すぐ今の今まで、伴れ立っていたが?」
秀治は、降りかけた石段を後ろへもどった。そして、自分が先に来過ぎたかと――西門をくぐって境内のほうを覗きこんだ。真っ暗な門の陰からピラと魚に似た光が走った。大型な笹穂の槍であった。無意識に――
「ばかッ」
と、秀治はさけんだ。
怖ろしい大声だった。山門の棟木にぐわんと鳴ったような。――それと共に、彼の佩いていた陣刀は電光をえがいて槍のケラ首あたりを斬り落していた。
しかも、彼の眼にとまったのは、その一槍だけだったが、事実はうしろからも一本の槍がいちどに彼の身ひとつへ蒐まっていたのである。陣刀一閃のもとに、彼が前なる一槍を斬り落していたとき、彼のからだは、そのまま横へ泳いで行った。二ヵ所の槍傷に堪えやらず――。
「ううむッ。小人めッ」
光秀の奸智を罵ったのであろう。そう唸きざま、山門の壁に身をぶつけると、そのまま倒れて息絶えた。